エッセイ

日々の散文 食多め

菓子と果実:老松 橙糖珠

清浄歓喜団の際に記載した和菓子ルーツ。

人の手で料理をして作った菓子の始まりが唐より渡来した唐菓子なのですが、そのもっと前の菓子は果実や木の実の事でした。

 

その昔は、木の実を「古能美」果物を「久多毛能」と呼びこれらをを採って食べていました。この間食が「果子」と呼ばれるものになったと言われています。

 

しかし食べ物の溢れる今でこそ季節の食べ物は四季を感じる風流な物ですが、農耕が確立していない昔は季節に取れる物をいかに長く保存するかが大切でした。

そこで木の実を砕いて粉にして水に晒すことによりアクを抜き、団子状に丸めて熱を加えるなどしたことが団子の始まりです。

 

このようにして食べ物の加工が始まって行きました。

 

水々しいく果物は水分量が多く腐りやすい。

キノコも水分が多い食べ物ですが、そのような食べ物の保存としてまず干すと言う事で水分量を減らし腐敗を防ぐ方法があります。

 

他に代表的な者として糖に付けたり煮たりして甘味を付けて保存食にする方法があります。

こちらは甘露煮や甘納豆が有名ですが、今回は京都上京区北野天満宮東門前にある老松さんの橙糖珠についてです。

 

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老松:橙糖珠

 

ぱっと見は何の果実か分かりにくいですが、こちらは金柑を蜜に浸けて作られています。

そこにすり蜜を付けています。

金柑の甘露煮などは良く見かけますが、そのイメージで言うと鮮やかで元気な橙色が影を潜め深い赤と橙が混ざった艶と落ち着きを纏った色に変わっています。

金柑の透き通った艶のある色合いとすり蜜の不透明なコントラストがとても素敵です。

 

 

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なにより金柑部分は日に当てるとなんとも綺麗な澄んだ橙色になるなんとも素敵な金柑です。

見た目からわかる濃密さ。

 

齧ると皮のプチっとした感じ、中の蜜の濃厚さとすり蜜のさっと溶ける蜜のコントラストも素敵です。

 

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バターや生クリームも捨てがたいですが橙糖珠やマロングラッセなどもとても食べたくなりますね。